総務省は2010年にSIMロックの解除を自主的に行うよう携帯業界向けに「SIMロック解除に関するガイドライン」て指針を出しました。その後、ドコモはSIMロック解除の手続きサービスを有償(3,000円)で始めています。また、SIMロック解除対応機種もiPhone以外の複数の機種で行っています。ソフトバンクもごくわずかな機種で同様のサービスを行っているものの、KDDI、ソフトバンクではほとんど守られていないと言っていい現状です。このため、総務省は拘束力のある規制に踏み切るというのが今回の方針で、SIMロックの解除を拒否すれば業務改善命令の対象になる事も検討されるようです。
そもそも、このSIMロックなるものは、携帯向け通信サービスを提供するキャリアが、携帯端末を販売する際に当該キャリア以外のSIMカードを使用出来ないようにするもの。つまり、他のキャリアへの乗り換えを容易にできないようにし、3大キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)に資するものと言えます。他キャリアに割安な料金プランがあって、新たに高価な端末を購入しなければならず、「キャリアによる顧客の囲い込み」の商慣習となっています。ちなみに、昨年11月にはアップルジャパンがSIMロックフリーのiPhone 5s・5cの販売を開始しています。
SIMロック解除によるユーザ・メリット
SIMロック解除によって、ユーザや3大キャリア以外のMVNO(仮想移動体通信事業者)にとっても多くのメリットを提供します。
- 現在使用している端末で他キャリアへの乗り換えが可能 より安い料金プランを提供しているキャリアへの乗り換えが、端末を変えることなく、現在使用している端末のまま乗り換えることが可能になります。
- 料金の値下げが期待出来る キャリアにとって顧客離れは死活問題ですから、より魅力的なサービスプランを用意せざるを得なくなり、現在高止まりの料金体系が崩れ、料金の値下げが行われるものと期待出来ます。
- ユーザのキャリア選びの選択しが広がる SIMロックによる商習慣によって、ユーザにとってメリットのあるサービスを提供している中小、MVNO各社が振るわない現状があります。SIMロック解除によって、端末の購入代金を考えないで、使用端末のままサービスメリットのみを考えての乗り換えが可能になります。3大キャリア以外の業者へのユーザの流入が図られ、高止まりの料金体系についても是正されるものと思われます。
- 複数業者で利用出来る端末の登場も SIMロックの解除が全面的に行われれば、複数のキャリアで動作する携帯端末の登場も期待されます。
SIMロック解除は、2010年6月のガイドラインにより指針が示されたものの義務化されず、これまで進んでいなかった現状があります。30日に行われる総務省の有識者会議でSIMロック解除の義務化がなされれば大きな転換点となるものと思われます。
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